私たちは創業以来木造住宅の耐震化向上のために活動してきました。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下木耐協)という全国約1100社の工務店やリフォーム会社が参加する組合の幹事会社として運営をサポートしているのもその一環です。 木耐協ではこれまで約14万棟の耐震診断を実施してきたのですが、その中には当然、中古住宅を購入された方からのご依頼もたくさんあります。

 注文住宅であろうと分譲住宅であろうと、中古で購入したとしても、これまで耐震化の対策をとっていない家屋は耐震性能が国の基準に満たないことが多いです。「まさかここまでひどいとは思わなかった−」特に中古で購入された方は同じような感想を口にされます。

 日本の住宅業界は新築偏重でした。当然、不動産取引も新築偏重でした。マイナス情報を開示してしまうと売れなくなってしまう、そんな考えから建物の特に性能面の情報が開示されることはあまりなく、結果的に住宅購入者が一方的にリスクを負ってしまう構造となってしまっているのです。

 右の写真は耐震診断の現場ではよくあるシーンです。土台や柱が腐ってしまい、必要な耐力が発揮できません。地震に耐えられる訳でもなく、診断結果は基準値の半分にも満たないケースがほとんどです。改修には多額のリフォーム資金が必要となりますが、改修費用を売主や仲介業者に請求することはできない場合がほとんどで、結局泣き寝入りするしかなくなるのです。

 このような目に見えない住宅の不具合を「瑕疵」といいます。売主が事業者の場合は2年間の瑕疵担保責任が法律で定められていますが、2年では期間が短すぎますし、何よりその事業者が倒産してしまったら責任を求めることができなくなります。また、売主が個人の場合は、「瑕疵の責任は問わない」とする契約を結ぶケースもあります。
 現在の中古住宅流通市場では瑕疵の問題は買主が一方的に背負わなければならないのが実情なのです。

 平成21年10月に住宅瑕疵担保履行法が制定され、すべての新築で瑕疵担保責任保険への加入か、供託による資力の確保が義務付けとなりました。
 瑕疵担保責任保険は、国土交通省が認定した瑕疵担保責任保険法人(現在は6社)が提供する保険商品で、新築の場合は10年間の保証期間となります。

 中古住宅の瑕疵担保責任保険は平成22年6月よりスタートしました。既存住宅流通時に保険をかける「売買瑕疵保険」とリフォーム時にかける「リフォーム瑕疵保険」の二つに分かれます。売買瑕疵保険は保険期間が5年間、リフォーム瑕疵保険は構造・防水工事を行った場合はそれぞれ5年、その他リフォーム部分は1年間の保証期間となります。

 瑕疵保険がカバーするのは、基本的には構造躯体と雨水の進入防止に関する部分です。購入時には発見できなかった不具合があったとして、例えば梅雨時期に雨漏れが発生した場合などに保険金が支払われます。

 リフォーム工事を行う場合、通常リフォーム工事業者は工事賠償責任保険という保険に入っています。(保険に入っていない事業者には依頼しない方がいいです)特にリフォーム瑕疵保険は工事賠償責任保険でカバーしているケースが多いです。工事賠償責任保険と瑕疵保険の違いは何かと言うと、それは事業者が倒産してしまった場合に違いが出ます。工事賠償責任保険は事業者が倒産してしまうと保険金が下りないのです。
 まさかに備えるのが保険商品ですが、瑕疵保険は見えない不具合に対するリスクだけでなく、事業者の倒産リスクにも備える保険商品なのです。

 瑕疵保険をかけるためには、保険法人の定める検査基準に合格する必要があります。建物の劣化状況を中心に検査を行いますが、昭和56年6月以前のいわゆる旧耐震案件の場合は耐震性も確認します。
 つまり、瑕疵保険付の物件は一定の性能基準をクリアした住宅と判断することができるのです。

 物件や取引の状況によって保険商品が異なりますが、瑕疵保険はどの事業者でも自由にかけられる保険ではありません。瑕疵保険の取り扱いには、瑕疵保険法人への事業者登録が必要であり、例えば個人間売買の瑕疵保険の場合は、検査会社登録が必要になり、登録申請時に建築士事務所登録や検査実績など審査があります。
 つまり、瑕疵保険がかけられる事業者は一定の基準をクリアした質の高い事業者と判断することができるのです。

 瑕疵保険は事業者が保険費用を負担します。リフォーム瑕疵保険の場合、リフォーム事業者が発行するリフォームの保証書に対する保険となるからです。
 既存住宅の瑕疵保険は新築と違い「任意」保険です。ですから、中古住宅を購入する際には瑕疵保険がかけられる事業者を選ぶことが大切なのです。

 中古住宅を購入する上で大切なポイントは、瑕疵のリスクをいかに回避するか、です。これまで結果的に瑕疵の問題が買主に一方的に乗っていたのは、結局問題が発覚したとしても、相手側に資力がなければ問題が解決できなかったからです。いくら契約書に厳密に記載をしたとしても、相手側が補修するための費用を持ち合わせていなければ、解決することはできません。
 特に住宅の場合は、問題が発生すると解決するために多額のコストがかかってしまうケースが多いです。なので、相手との信頼関係や契約書に依存するのではなく、問題が発生しても解決しうる資力の確保が必要なのです。

 リニュアル仲介では将来資産になる住宅購入をお手伝いしています。瑕疵保険がかけられる住宅は最低限の条件です。瑕疵保険をかけることのできない、住宅性能が基準に満たない建物は将来売ることも貸すこともできないのです。中古住宅の購入は、瑕疵保険がかけられる住宅を選択することを強く推奨いたします。

 瑕疵保険は事業者が費用負担します。事業者にとって瑕疵保険費用は「単なるコスト」です。なるべく抑えたいのが本音です。 そして、中古住宅の瑕疵保険は「任意」です。かけなくても罰せられることはないのです。また、取り扱いたくてもその事業者が事業者登録の要件を満たしていなければ、保険をかけることができません。
 つまり、瑕疵保険は事業者選びの条件となるのです。住宅購入者が求めるのではなく、何も言わなくてもきちんと提案してもらえる事業者こそが信頼できる事業者だとリニュアル仲介では考えます。

 

 

 
 
 
 
※木耐協についてはホームページをご覧ください。
<LINK>日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
 
 
※木耐協では年2回、耐震に関するデータをまとめた「調査データ」を発表しています。旧耐震案件はなんと9割以上もの家屋が耐震基準を満たさないことがわかっています。
<LINK>木耐協調査データ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※瑕疵保険法人の情報は一般社団法人瑕疵保険協会のホームページで確認することができます。
<LINK>一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会
 
 

※瑕疵保険法人のうちの1社、ハウスジーメンのホームページに瑕疵保険に関する詳細な情報が掲載されています。(パンフレットや重要事項説明書が参考になります)
<LINK>株式会社ハウスジーメン
      瑕疵保険パンフレット

 
 
 
 
※特にリフォーム済みの中古住宅を購入する際には注意をした方が良いと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
※瑕疵保険を申し込むと、瑕疵保険法人から派遣された検査員が現場検査を行います。完全に第3者による検査なので、事業者はごまかしがききません。
 
※中古住宅の購入にはリフォームが不可欠です。ですからリフォーム事業者選びは重要なポイントです。瑕疵保険に限らず、建築士がいない、建築士事務所登録を行っていないリフォーム事業者には、例えどれだけ見積りが安くても頼むべきではないのです。
 
※瑕疵保険の本質は非常に難解です。事業者がかけるべき保険なので、事業者が費用負担するとご理解ください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※将来資産になる住宅の条件にもうひとつ、住宅履歴があります。基準を超える性能を有していてもそれを証明する方法がなければ意味がありません。住宅履歴は平成21年に始まった国の制度です。
<LINK>家カルテ(一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会)