【防災コラム②】「耐震等級3なら絶対安全」という誤解:繰り返し襲う揺れ(累積ダメージ)の真実

防災コラム 第2回/全12回
「耐震等級3なら絶対安全」という誤解:繰り返し襲う揺れ(累積ダメージ)の真実
「耐震等級3を取得しているから、大地震が来てもこの家は大丈夫」――このように考えていらっしゃる施主様は非常に多く存在します。しかし、近年の地震観測データは、従来の「耐震設計の前提」に新たな課題を投げかけています。それが「繰り返す余震による構造体へのダメージの蓄積(累積被害)」です。
■ 1回目の揺れには耐えられても…
2016年の熊本地震では、本震クラスの激震(震度6強〜7)が短期間に何度も発生しました。建築基準法における耐震設計は、主に「極めて稀に発生する大地震が1回来ること」を想定し、倒壊を防ぐことを基準としています。
そのため、最初の揺れで構造接合部や耐震金物、合板の留め具周辺に目に見えない微細な緩みや損傷が生じると、2回目・3回目の大きな揺れで耐力が低下し、想定以上の損壊につながるケースが見られました。
■ 工務店として伝えたい「構造+α」の防災思考
施主様に「本当の安全」を理解していただくためには、単にスペック数値を伝えるだけでなく、以下の視点を持つことが重要です。
1. 制震技術(ダンパー等)の重要性
初回の大きな揺れだけでなく、繰り返す余震まで見据え、「構造体に残るダメージを軽減し、揺れそのものに強くする」という制震の役割を正しく伝えること。
2. 「倒壊しない」と「住み続けられる」の違い
「構造が潰れず命が助かること」と「地震後にそのままその家で生活を継続できること」は別次元の課題であると認識していただくこと。
「数値をクリアして終わり」ではなく、巨大地震が何度も来ることまで想定した住まいづくり。その真摯な姿勢こそが、施主様からの深い信頼へとつながります。
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