【防災コラム⑧】地震後の二次災害「通電火災」を防ぐ:感震ブレーカーの仕組みと推奨される理由

防災コラム 第8回/全12回
地震後の二次災害「通電火災」を防ぐ:感震ブレーカーの仕組みと推奨される理由
地震が発生した直後、難を逃れて一安心した後に襲いかかる恐ろしい二次災害をご存じでしょうか。それが「通電火災(つうでんかさい)」です。
地震による火災の出火原因を調べると、電気に関係するものが過半数を占めることが知られています。内閣府の検討会の資料でも、阪神・淡路大震災では出火原因のうち電気関係が約6割、東日本大震災でも、本震による火災のうち原因が特定されたものの過半数が電気関係(津波火災を除く)とされています。なかでも、時間が経ってから発生する「通電火災」は、発見や消火が遅れやすく、特に警戒が必要です。
■ 通電火災はなぜ起きるのか?
STEP 1 地震の揺れで、電気ストーブや観賞魚用ヒーターなどが倒れる。また、電気コードが傷つく。
STEP 2 停電が発生し、いったん電気の供給が止まる。
STEP 3 住人が避難した後、地域の電力が復旧(通電)した際、倒れたままの電気機器や傷ついたコードに再び電気が流れ、引火・発火する。
阪神・淡路大震災では、地震発生から時間が経過してからの出火が多かったことが特徴として指摘されています。人が不在のまま出火するため発見が遅れ、揺れで散乱した室内の物に燃え移って、被害が拡大しやすくなります。また、ストーブやヒーターなど熱を発する家電を使う冬場は、リスクが特に高まります。
■ 通電火災を防ぐ有効な手段「感震ブレーカー」
この被害を未然に防ぐために、国(内閣府)をはじめ行政や防災機関が普及を進めているのが「感震ブレーカー」の設置です。感震ブレーカーは、設定以上の揺れ(一般的に震度5強以上)を感知すると、自動的にブレーカーを落とし、電気の供給を遮断する装置です。
感震ブレーカーには、いくつかの種類があります。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 分電盤タイプ(内蔵型) | 分電盤自体に感震機能を内蔵。新築時に採用しやすく、確実性が高いタイプです。 |
| 後付けタイプ | 既存の分電盤に取り付けるタイプ。既存住宅でも導入しやすい反面、電気工事が必要になる場合があります。 |
| コンセントタイプ・簡易タイプ | コンセント単位で遮断するタイプや、揺れで重りが落ちてブレーカーを落とす簡易な装置など。手軽に導入できます。 |
近年は、分電盤自体に感震機能を内蔵した「感震機能付分電盤」を新築時の標準仕様として採用する工務店様も増えています。施主様へ配電計画を提案する際、「通電火災からご家族と家を守るための装備」として紹介してみてはいかがでしょうか。
■ 提案時にあわせて伝えたい「設置時の注意点」
1. 避難時の暗闇への備え
感震ブレーカーが作動すると、家全体の照明も消えます。夜間の避難に支障が出ないよう、第4回でご紹介した、停電時に自動点灯する足元灯(フットライト)をあわせて計画しておくことが大切です。
2. 電源を止めたくない機器への配慮
在宅で使用する医療機器や、防犯設備など、停電させたくない機器がある場合は、遮断する範囲や設置方法を事前に確認しておく必要があります。
3. 通電再開時の安全確認の習慣化
地震後にブレーカーを戻す際は、電気機器が倒れていないか、コードが傷んでいないかを確認してから通電するよう、施主様にあらかじめお伝えしておくことで、設備の効果をより確かなものにできます。
4. 自治体の補助制度の確認
感震ブレーカーの設置費用に対する補助制度を設けている自治体もあります。制度の有無や条件は地域ごとに異なるため、お客様へのご案内の際は、あわせて確認しておくと親切です。
地震の揺れから命を守るだけでなく、その後の火災から住まいと家族を守る。こうした視点での提案が、防災意識の高い施主様からの信頼につながります。
次回:防災コラム 第9回へ続く


