【防災コラム⑥】水害時の「内水氾濫」とは?河川から離れていても起きる床上浸水のリスクと対策

防災コラム 第6回/全12回
水害時の「内水氾濫」とは?河川から離れていても起きる床上浸水のリスクと対策
近年の気候変動に伴い、短時間に集中して降る「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」による被害が各地で相次いでいます。気象庁のデータによると、1時間降水量50mm以上の短時間豪雨の年間発生回数は、1976〜1985年の平均が約226回だったのに対し、2013〜2022年の平均は約328回と、約1.5倍に増加しています。
水害対策というと「近くの大きな川が氾濫する(外水氾濫)」イメージが強いですが、実は今、河川から離れた住宅地でも被害が相次いでいるのが「内水氾濫(ないすいはんらん)」です。
■ 内水氾濫が起きるメカニズム
内水氾濫とは、短時間に大量の雨が降ることで、街の側溝や下水道の排水能力を超えてしまい、雨水が行き場を失って路面に溢れ出し、住宅へ流れ込む現象です。周辺より少しだけ低い土地や、道路の排水口が詰まりやすい場所では、河川の決壊とは関係なく床下・床上浸水が発生します。
さらに、下水道がいっぱいになると、排水管を通じてトイレや浴室などから汚水が逆流してくるケースもあります。なお、内水氾濫のリスクを示す「内水ハザードマップ」は各自治体が作成・公表しています(未整備の自治体もあります)。第3回でお伝えした「局所的な窪地」のリスクとあわせて、お住まいの市区町村で確認しておくことが大切です。
■ 敷地・建物計画で防ぐ水害対策
内水氾濫のリスクを低減するために、建築計画の段階で考慮できるポイントがいくつかあります。
1. 設計G.L.(地盤面)の設定見直し
前面道路よりも敷地全体を少し高く設定する、または基礎の高さを標準より高めに設定する(高基礎の採用)ことで、浸水の入り口を減らします。
2. 雨水マス・排水口の清掃性の確保
敷地内の雨水がスムーズに排出されるよう勾配計画を整えるとともに、落ち葉やゴミが溜まった際にも清掃しやすい位置・構造の排水マスを配置します。
3. エコキュートや室外機、分電盤・蓄電池の嵩上げ設置
建物自体への浸水を防ぐだけでなく、架台などを用いて設備機器の高さを上げておくことで、浸水時の電気設備の被害を最小限に抑えられます。第4回で触れた蓄電池や分電盤も、設置高さの検討が重要です。
4. ビルトインガレージ・半地下・地下室の止水対策
道路より低い位置にある開口部は、雨水が集中して流れ込みやすい場所です。止水板の設置や、出入口の段差・かさ上げなどを計画段階から検討しておくことが有効です。
5. 排水の逆流対策
宅内の排水管に逆流防止弁を設けることで、下水道の水位上昇による汚水の逆流を抑えられます。特に低地や過去に冠水履歴のある地域では、検討する価値があります。
水害リスクは「川の近く」だけのものではありません。多様化する気象災害に対応した敷地計画の重要性が、今あらためて問われています。
次回:防災コラム 第7回へ続く


